自動車工学基礎シリーズ 第6回 燃費率マップ

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はじめに

自動車工学シリーズ6回目です。今回は「エンジンの燃費率」について解説します。
燃費の目玉」を狙って制御することがPU開発の第1歩目になります。

燃費マップとは?

燃費マップは、横軸にエンジンの回転数(rpm)、縦軸にエンジントルク(Nm)を取ったグラフです。
各点はその回転数とトルクでエンジンを動かしたときの燃費(g/kWh)を示しています。
このグラフは、実際にエンジンを動かした実測データを使って描かれます。

燃費の目玉

「目玉」とは、エンジンが最小の燃料で最大の仕事をする点(最良効率点)です。
エンジニアは最良燃費点を見つけたいので、最良領域の計測データ数が多くなり、「目玉」の用に見えるのが言葉の由来です。

ちなみに「低回転×高トルク」領域は燃料増量という制御が入ることが多く、非常に燃費が悪化します。「突っ込んではいけない崖がある」と言ったりします。

「低トルク」領域もあまり燃費はよくありません。これはポンピングロスの影響です。
エンジンはスロットルバルブで空気量を制御しています。低トルク領域ではスロットルを大きく開けることができないため、吸気抵抗が大きく、空気を取り込む事自体にロスが発生します。これをポンピングロス、通称「ポンロス」といいます。

等馬力線

点線の曲線で示しているのが、等馬力線です。この線上は同じ馬力です。
以下でも説明していますが、馬力(出力)はエンジントルクとエンジン回転の掛け算ですのでこのような線になります。

「車が走るために必要な出力」を等馬力線上のどこで出すか?これが駆動力設計になります。

動作点

燃費率マップの中のどの回転とトルク”の組み合わせを使って車を走らせるか?
これを「動作点」や「運転点」を決定する、と呼称します。

トランスミッションに従事する専門家がまずこれを確定せねばなりません。
自動変速機をもつ自動車においては、「変速線を決定する」と言い換えることもできます。

自動車開発において、動作点は開発中に容易に変更することのできない非常に重要なパラメータになります。

まとめ

自動車開発現場において、燃料消費率マップ「燃費の目玉」は初期段階で作られ、活用されています。
エンジンマップの中で最も効率の良い領域を指す言葉であり、重要な指標です。

  • 回転数 × トルクと消費燃料で表現される
  • 動作点を決定するのに必要不可欠
  • 変速線の設計やハイブリッド制御設計に活用

普段何気なくアクセルを踏むときも、「燃費の目玉」を意識して運転すれば、エコドライブの意識が一段階アップするかもしれません。

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