はじめに
前回の記事では、マネージャーに必要な対話力と感情の扱い方について整理しました。今回は、マネージャーが向き合う「問題」と「コンフリクト」について、研修で学んだことをまとめます。
マネージャーをしていると、いろいろな問題が起きます。ただし、その問題はすべて同じ種類ではありません。
調べれば解ける問題もあれば、答えが見つからず、人と人との対話や相互理解が必要になる問題もあります。
また、チームで仕事をしている以上、意見の衝突も避けられません。
大事なのは、衝突をすべて悪いものとして避けるのではなく、どのコンフリクトは活用すべきで、どのコンフリクトは避けるべきなのかを見極めることです。
今回の研修を通じて、マネージャーは問題を解く人である前に、問題の種類を見極める人であると学びました。

マネジメントには4つの領域がある
研修では、マネジメントを4象限で考える話がありました。縦軸を「経営」と「現場」、横軸を「事業」と「組織」に分けると、マネジメントの領域は次の4つに整理できます。
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| 経営 × 事業 | 戦略 |
| 経営 × 組織 | 文化 |
| 現場 × 事業 | プロセス |
| 現場 × 組織 | 人 |
経営と事業の間にあるのが、戦略です。
経営と組織の間にあるのが、文化です。
現場と事業の間にあるのが、プロセスです。
現場と組織の間にあるのが、人です。
マネージャーは、いつも同じ場所だけを見ていればよいわけではありません。
時と場合に応じて、どの領域に注力すべきかを考える必要があります。
今は戦略を見るべきなのか。
文化を整えるべきなのか。
プロセスを整備すべきなのか。
人に向き合うべきなのか。
このように、自分が今どこに時間を使うべきかを意識することが大事だと学びました。
マネージャーは4方向と接続する必要がある
マネジメントには、4象限だけでなく、4方向という考え方もあります。
マネージャーは、自分の部下だけを見ていればよいわけではありません。
自分を中心にして、次の4方向と接続する必要があります。
- 上位との接続
- 社内との接続
- 外部との接続
- 現場との接続
上位との接続とは、上司や役員との接続です。
社内との接続とは、他部署や関係者との接続です。
外部との接続とは、社外の人や顧客、協業先との接続です。
現場との接続とは、自分の部下やチームメンバーとの接続です。
マネージャーは、自分のチームだけを見ていても十分ではありません。
上位の期待や方針を理解する必要があります。
他部署と連携する必要もあります。
外部の変化や顧客の声を知る必要もあります。
もちろん、現場の状況や部下の状態も見なければなりません。
つまり、マネージャーは複数の方向に橋をかける役割を持っているのだと思います。
意識するとは、時間を割くこと
研修で印象に残ったのは、「意識下に置く」という言葉です。
自分は今、どの領域を攻めるべきなのか。どこと接続しなければならないのか。
これを常に意識下に置く必要がある、という話でした。ただし、ここでいう「意識する」は、頭の中で大事だと思っているだけでは足りません。意識するとは、実際に時間を割くことです。
苦手なことほど、意図的に時間を使わなければなりません。
放っておくと、人は自分が得意なこと、やりやすいこと、慣れていることに時間を使ってしまいます。
しかし、マネージャーとして必要なことが、必ずしも自分の得意なこととは限りません。
上位との接続が苦手なら、そこに時間を割く。
他部署との調整が苦手なら、そこに時間を割く。
部下との対話が不足しているなら、そこに時間を割く。
外部の情報を取りに行けていないなら、そこに時間を割く。
時間を使っていないものは、実際には意識できていない。このくらい厳しく見たほうがよいのだと思いました。
問題には技術的問題と適応問題がある
マネジメントをしていると、さまざまな問題が起きます。研修では、問題は大きく2つに分けられると学びました。
1つは、技術的問題。
もう1つは、適応問題です。
この2つを見極めることが、とても重要です。
技術的問題とは、答えや前例がある問題
技術的問題とは、どこかに答えや前例がある問題です。たとえば、
- 調べれば解決策が見つかる
- 専門知識を持った人に聞けば分かる
- 必要なリソースを確保すれば進む
- 手順やルールを整えれば解決できる
- 次にやることが比較的見えている
このような問題です。
技術的問題は、もちろん簡単とは限りません。
専門知識が必要な場合もありますし、時間やお金が必要な場合もあります。
ただし、少なくとも「どう解けばよいか」の方向性は見えています。
知識を得る。
人を集める。
リソースを確保する。
過去事例を調べる。
手順を整える。
このように、次の行動が見えやすいのが技術的問題です。
適応問題とは、答えや前例がない問題
一方で、適応問題は答えや前例がない問題です。特徴としては、次のようなものがあります。
- 次に何をすればよいか分からない
- 答えが一つに決まらない
- 前例がない
- 当事者同士の対話が必要
- 相互理解が必要
- 自分自身が変わる必要がある
- 人の感情が絡む
適応問題は、とても難しい問題です。
なぜなら、知識やリソースを足せば解けるとは限らないからです。
むしろ、関係者同士が対話し、お互いの前提や感情を理解しながら進めなければなりません。
経営陣の悩みには、この適応問題が多いという話もありました。
本当に手も足も出ないように感じる問題は、技術的問題ではなく、適応問題であることが多いのだと思います。
目の前の問題がどちらなのかを見極める
マネージャーにとって大事なのは、目の前の問題が技術的問題なのか、適応問題なのかを見極めることです。
技術的問題であれば、知識やリソースで解決できます。
前例を探す、専門家に聞く、手順を整える、役割を決める。
そうすれば、前に進める可能性が高いです。
しかし、適応問題を技術的問題のように扱うと、うまくいきません。
答えがない問題に対して、正解を押し付ける。
感情が絡んでいる問題に対して、手順だけで解決しようとする。
価値観の違いがある問題に対して、ルールだけで片付けようとする。
こうすると、問題は解決するどころか、さらにこじれる可能性があります。だからこそ、まず見極めることが大事です。
これは技術的問題なのか。
それとも適応問題なのか。
ここを間違えないようにしたいと思いました。
適応問題には、対話を通じた共感と納得が必要
適応問題に向き合うときは、対話を通じた共感と納得が重要になります。
適応問題は、答えが分からない問題です。
関係者の感情や価値観も絡みます。
そのため、一方的に正論を言っても前に進みません。
まずは相手を理解する必要があります。
相手は何に困っているのか。
何を大事にしているのか。
何を不安に思っているのか。
何に納得できていないのか。
こうしたことを対話によって理解していく必要があります。ここで大事なのは、同感ではなく共感です。
相手と同じ意見になる必要はありません。しかし、相手がそう感じていることを理解しようとする姿勢は必要です。
正そうとする前に、分かろうとする。
これが適応問題に向き合う基本だと学びました。
表面的な出来事だけを見ない
適応問題を考えるときは、表面的な出来事だけを見てはいけません。研修では、次のような流れで見ると学びました。
- 出来事を見る
- 繰り返されるパターンを見る
- 問題が起きる構造を見る
- 人のメンタルモデルを見る
まず、何が起きたのかを見る。
次に、それは今回だけなのか、繰り返し起きているのかを見る。
さらに、なぜそれが起きるのか、構造を見る。
最後に、人がどのような前提や思い込みで動いているのかを見る。
大事なのは、
「何がそれをそうさせているのか」
「本当の問題は何なのか」
を考えることです。
目の前の出来事だけを見て対処すると、同じ問題がまた起きるかもしれません。
本当の問題は、出来事の奥にある構造やメンタルモデルにある場合があります。
4つの目で問題を見る
本当の問題を見極めるために、4つの目を使うという話もありました。
鳥の目:全体構造を見る
虫の目:当事者の実感を見る
魚の目:時間の流れを見る
コウモリの目:前提を疑う
鳥の目:高いところから全体を見る
鳥の目とは、高いところから全体を見る視点です。
目の前の問題だけに集中していると、全体の構造が見えなくなることがあります。
この問題は組織全体の中でどの位置にあるのか。
どの部署と関係しているのか。
上位方針とどうつながっているのか。
他の問題と連動していないか。
こうしたことを俯瞰して見るのが、鳥の目です。
虫の目:当事者に近い目線で見る
虫の目とは、当事者に近い目線で見る視点です。
現場では何が起きているのか。
当事者は何に困っているのか。
どこに違和感を持っているのか。
どんな未充足ニーズがあるのか。
高いところから見ているだけでは、現場の実感は分かりません。
相手の近くに寄って、具体的に見る。
これが虫の目です。
イノベーションの源泉は共感であるという話も、この虫の目とつながっていると思います。
魚の目:時間の流れで見る
魚の目とは、時間軸で見る視点です。
昔はどうだったのか。
今はどうなっているのか。
このまま進むと将来どうなるのか。
問題は、ある一時点だけで見ると分からないことがあります。
時間の流れの中で見ることで、変化や傾向が見えてきます。
昔はうまくいっていたのに、なぜ今はうまくいかないのか。
今は小さな問題だが、将来大きくならないか。
過去の成功体験が、今の足かせになっていないか。
こうした見方が、魚の目です。
コウモリの目:一度疑ってみる
コウモリの目とは、一度疑ってみる視点です。
これは本当に問題なのか。
本当にその人が悪いのか。
本当にそのルールが正しいのか。
本当に今の前提で考えてよいのか。
当たり前だと思っていることを、一度疑ってみる。
マネージャーは、経験があるほど自分の判断に頼りがちです。
しかし、その判断が思い込みになっている場合もあります。
だからこそ、コウモリの目で前提を疑うことが大事なのだと思います。
ルールと関係性のバランス
適応問題では、ルールと関係性のバランスも重要です。
ルールを重視しすぎると、関係性が悪くなることがあります。
一方で、関係性だけを重視してルールを無視すると、組織としてうまく回りません。
特に適応問題では、ルールだけで押し切ろうとしてもうまくいかないことがあります。なぜなら、適応問題には感情や価値観が絡むからです。
ルールとしては正しい。
しかし、相手は納得していない。
その状態では、行動は変わりにくいです。
だからこそ、対話が必要になります。
ルールで正す前に、関係性を作る。関係性を作るために、相手を分かろうとする。
この順番を忘れないようにしたいです。
質問・問い・発問を使い分ける
相手との対話では、言葉の使い方も重要です。研修では、質問・問い・発問の違いを学びました。
| 種類 | 内容 | 目的 |
| 質問 | 自分は知らないが、相手は知っていることを聞く | 関係を作る |
| 問い | 自分も相手も答えが分からないことを一緒に考える | 関係を紡ぐ |
| 発問 | 自分は知っていて、相手は知らないことを考えてもらう | 関係性を固める |
質問は、相手が知っていることを聞くものです。
たとえば、「今どこで困っていますか」「何が起きていますか」と聞くような場面です。
問いは、自分も相手も答えが分からないことを一緒に考えるものです。
たとえば、「この問題の本質は何だと思いますか」「どうすれば両立できると思いますか」といったものです。
発問は、自分は答えや意図を持っているが、相手に考えてもらうためのものです。
育成の場面で使うことが多いと思います。
この3つを使い分けることで、相手との関係性を深めることができます。
コンフリクトは避けるだけではなく、活用する
マネージャーをしていると、必ずコンフリクトが起きます。コンフリクトとは、相手との衝突です。
意見が違う。
進め方が違う。
価値観が違う。
感情がぶつかる。
こうしたことは、チームで仕事をしていれば避けられません。ただし、コンフリクトをすべて悪いものとして回避してはいけません。大事なのは、コンフリクトを見極めることです。
活用すべきコンフリクトもあれば、解消すべきコンフリクトもあります。
そして、回避すべきコンフリクトもあります。
コンフリクトはWhyとWhatで見る
コンフリクトが起きたときは、まずWhyとWhatで考えます。
Whyは、なぜ生じているのか。
Whatは、どこで生じているのか。
この2つを分けて考えることが大事です。
Why:多くは情報の解釈のズレで起きる
コンフリクトが起きる原因の多くは、情報のズレです。より正確に言えば、情報の解釈のズレです。
同じ情報を見ているつもりでも、人によって解釈が違うことがあります。
片方は「これは急ぎだ」と思っている。
もう片方は「これはまだ先でよい」と思っている。
片方は「これは決定事項だ」と思っている。
もう片方は「まだ相談段階だ」と思っている。
このような解釈のズレは、よく起きます。
ただし、情報の解釈のズレは比較的直しやすい問題です。
お互いが何を前提にしているのかを確認し、認識をそろえればよいからです。
一方で、価値観のズレは少し難しくなります。価値観が違う場合は、対話が必要になります。
ただ、研修では、よく起きるのは価値観のズレよりも情報の解釈のズレだと学びました。
まずは、情報や認識のズレがないかを確認することが大事です。
What:どこで起きているコンフリクトかを見る
コンフリクトは、どこで起きているかによって扱い方が変わります。研修では、次の3つに分けて考えました。
| 種類 | 内容 | 扱い方 |
| アイデアのコンフリクト | A案かB案かなど、考え方の衝突 | 活用すべき |
| プロセスのコンフリクト | 誰が、いつ、どう進めるかの衝突 | 解消すべき |
| エモーショナルなコンフリクト | 感情の衝突 | 回避すべき |
この分類は、とても実践的だと思いました。
アイデアのコンフリクトは歓迎する
アイデアのコンフリクトは、歓迎すべきコンフリクトです。
A案がよい。
B案がよい。
もっと別の案がある。
このような衝突は、チームにとって悪いことではありません。むしろ、より良い案を生み出すためには必要な衝突です。
意見がぶつからないチームは、一見平和に見えるかもしれません。
しかし、誰も本音を言っていないだけかもしれません。
マネージャーは、アイデアのコンフリクトを恐れすぎないことが大事です。
むしろ、良いアイデアの衝突は積極的に起こしたほうがよいと学びました。
プロセスのコンフリクトは解消する
プロセスのコンフリクトは、解消すべきコンフリクトです。たとえば、
- 誰がやるのか
- いつまでにやるのか
- どの順番で進めるのか
- どこで決めるのか
- 誰に確認するのか
こうした進め方に関する衝突です。プロセスのコンフリクトを放置すると、感情の衝突に発展しやすくなります。
「なぜ自分ばかりやるのか」
「聞いていない」
「勝手に決められた」
「いつも後から言われる」
このように、最初は進め方の問題だったものが、相手への不満や不信感に変わっていきます。だからこそ、プロセスのコンフリクトは早めに整理する必要があります。
エモーショナルなコンフリクトは回避する
エモーショナルなコンフリクトは、感情の衝突です。これは回避すべきコンフリクトです。
もちろん、感情を無視するという意味ではありません。
むしろ、感情を無視して進めるからこそ、エモーショナルなコンフリクトに発展します。
大事なのは、感情の衝突になる前に、プロセスの問題を整えることです。
誰がやるのか。
いつやるのか。
どう進めるのか。
何を決める場なのか。
こうしたことを明確にしておくことで、不要な感情の衝突を防ぐことができます。
トレードオフ型とパラドクシャル型を見極める
コンフリクトには、もう一つ重要な見方があります。それが、
- トレードオフ型コンフリクト
- パラドクシャル型コンフリクト
です。この2つを見極めることも、マネージャーにとって重要です。
トレードオフ型はAかBかを選ぶ問題
トレードオフ型コンフリクトは、AかBかを選ぶ問題です。
限られた時間の中で、どちらを優先するのか。
限られた予算の中で、どちらに投資するのか。
限られた人員の中で、どちらの仕事を進めるのか。
このように、どちらかを選ばなければならない場面です。
この場合は、判断基準を明確にして決める必要があります。
何を優先するのか。どの基準で選ぶのか。選ばなかったほうには、どう対応するのか。
マネージャーは、決めるべき場面では決めなければなりません。
パラドクシャル型はAもBも必要な問題
一方で、パラドクシャル型コンフリクトは、AとBが対立しているように見えるけれど、実際には両方必要な問題です。たとえば、
- 顧客満足度と社員満足度
- 品質とスピード
- 短期成果と長期育成
- ルールと柔軟性
- 現場対応と全体最適
このような問題です。これらは、どちらか一方だけを選べばよいわけではありません。
どちらも大事です。
マネージャーは、目の前の問題が「AかBか」なのか、「AもBも必要」なのかを見極める必要があります。
ここを間違えると、本来は両立させるべきものを片方だけに寄せてしまいます。
逆に、決めなければならない場面で、いつまでも両立を目指して決められないこともあります。
コンフリクトの型を見極めることは、とても重要だと感じました。
味方に引き入れるべき人を考える
チームを動かすとき、自分と同じ考えの人だけを味方にしても、視野は広がりません。
研修では、チームの中でどのような人を味方に引き入れるとよいか、という話もありました。人を次の2軸で見ます。
- 持っている情報が同じか、違うか
- 考え方が同じか、違うか
この組み合わせで、4つのタイプに分けられます。
| 情報 | 考え方 | 特徴 |
| 同じ | 同じ | 友達に近い存在 |
| 同じ | 違う | 同じ情報を見ているが、考え方が違う人 |
| 違う | 同じ | 違う情報を持っているが、同じ考え方をする人 |
| 違う | 違う | 情報も考え方も違う人 |
最初に味方に引き入れるとよいのは、次の2タイプです。
- 持っている情報は同じだが、考え方が違う人
- 持っている情報は違うが、考え方が同じ人
これはとても面白い考え方でした。持っている情報が同じで、考え方も同じ人は、一緒にいて安心できます。
しかし、それだけでは視野が広がりません。
情報が同じで考え方が違う人は、自分と同じ前提を見ながら、違う解釈をしてくれます。
これは、自分の考えの偏りを防ぐ助けになります。
情報が違って考え方が同じ人は、自分にはない情報を持ちながら、同じ方向を向いてくれます。
これは、チームを前に進める力になります。
マネージャーは、自分にとって心地よい人だけを集めるのではなく、チームにとって必要な違いを持つ人を味方にしていく必要があるのだと思いました。
会議の問題は組織の問題である
会議についても、重要な学びがありました。研修では、会議の問題は組織の問題だという話がありました。
会議がうまくいかないのは、単に進行が悪いだけではありません。組織の状態が、会議に表れている場合があります。
たとえば、
- 誰も発言しない
- 決まらない
- 決まったことが実行されない
- 目的が分からない
- 言いにくいことが言えない
- 解釈のズレが残る
こうした会議は、会議そのものだけでなく、組織の関係性や意思決定の仕組みに問題がある可能性があります。
会議の目的を最初に決める
会議を開くときは、まず目的を決める必要があります。会議の目的には、たとえば次のようなものがあります。
- 情報共有
- 意思決定
- 問題解決
- 信頼構築
この目的が曖昧なまま会議を始めると、参加者の認識がずれます。
ある人は情報共有の場だと思っている。
別の人は意思決定の場だと思っている。
主催者は問題解決をしたいと思っている。
このように目的がずれていると、会議はうまくいきません。
会議の前に、「これは何のための会議なのか」を決めることが大事です。
会議のゴールを定義する
目的に加えて、会議のゴールも必要です。会議のゴールとは、終了時における理想の姿です。
たとえば、
- 関係者の認識がそろっている
- 課題が3つに整理されている
- 次にやることが決まっている
- 担当者と期限が決まっている
- 判断に必要な懸念点が出し切れている
- A案で進めることが決まっている
このように、会議が終わったときにどうなっていればよいのかを具体的にします。ゴールが曖昧な会議は、終わったあとに「結局何が決まったのか」が分からなくなります。
心理的安全性を担保する
会議では、心理的安全性を担保することも重要です。たとえば、
- 言いにくいことを言ってよい
- 分からないことを分からないと言ってよい
- 反対意見を出してよい
- 発言をすぐに否定しない
- 立場ではなく内容を見る
このような約束事があると、参加者は発言しやすくなります。
特に問題解決や意思決定の会議では、言いにくいことが出てこないと意味がありません。
本当の懸念が出ないまま決めても、後から問題になる可能性があります。
会議を設計するうえで、心理的安全性は重要な前提だと学びました。
会議には発散と収束がある
会議には、発散と収束の流れがあります。理想的には、次のように進みます。
- 問題を探索するために発散する
- 課題に落とすために収束する
- 解決策を考えるために発散する
- 提案や決定のために収束する
まず、問題を広く出す。その後、何が本当の課題なのかを絞る。次に、解決策を広く考える。最後に、提案や決定にまとめる。
会議がうまくいかないときは、今が発散の時間なのか、収束の時間なのかが曖昧なことがあります。
発散すべき場面で、すぐに否定してしまう。
収束すべき場面で、いつまでも意見を広げてしまう。
これでは会議は前に進みません。
マネージャーや会議の主催者は、今は発散なのか、収束なのかを意識して進める必要があります。
合意で終わるのか、意思決定で終わるのか
会議の最後をどう終えるのかも、最初に決めておく必要があります。
会議は、合意で終わるのか。
それとも、意思決定で終わるのか。
言い換えると、コンセンサスを目指すのか、決断を目指すのかということです。
ここが曖昧だと、会議の進め方がずれます。
全員が納得するまで話すべき場なのか。
責任者が最後に決める場なのか。
多数決で決める場なのか。
権限移譲して任せる場なのか。
これを最初に決めておくことが大事です。
合意形成と意思決定は違う
合意形成と意思決定は似ていますが、同じではありません。合意形成には、次のようなものがあります。
| 種類 | 内容 |
| 完全な合意 | 全員が同意する |
| 包括的合意 | 全員ではないが、大多数が合意する |
一方で、意思決定には次のような方法があります。
- トップダウン
- 多数決
- 権限移譲
すべての会議で全員同意を目指す必要はありません。
逆に、関係者の納得が必要な場面でトップダウンだけで決めると、後で動かなくなることもあります。
大事なのは、会議の目的に応じて、どの決め方をするのかを設計することです。
まとめ:マネージャーは問題の種類を見極める
今回の研修で学んだことをまとめると、マネージャーは問題の種類を見極める必要があるということです。
目の前の問題は、技術的問題なのか。
それとも、適応問題なのか。
答えや前例があるなら、知識やリソースで解決できます。
しかし、答えがなく、人の感情や価値観が絡むなら、対話を通じた共感と納得が必要になります。
また、コンフリクトもすべて避けるものではありません。
アイデアのコンフリクトは歓迎する。
プロセスのコンフリクトは整理する。
エモーショナルなコンフリクトは回避する。
そして、AかBかを選ぶ問題なのか、AもBも両立させる問題なのかを見極める。
マネージャーは、単に問題を解く人ではありません。
問題の種類を見極め、関係者と接続し、対話し、必要なコンフリクトを活用しながら前に進める人なのだと思います。
今回の学びを忘れないようにしたいです。
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