ICとは?集積回路(Integrated Circuit)の基本をやさしく解説

目次

はじめに

電子工作や機械の説明を聞いていると、「IC(アイシー)」という言葉がよく出てきます。
「ICチップ」「ICカード」など、日常でも耳にすることがありますが、そもそもICとは何か? と聞かれると、答えるのが難しい人も多いのではないでしょうか。
今回は、ICの原理・役割・種類・身近な使用例まで、だれでも理解できるようにやさしく解説します

IC(集積回路)とは?

ICは Integrated Circuit(インテグレーテッド・サーキット) の略で、日本語では「集積回路」と呼ばれます。たくさんの電子部品(トランジスタ、抵抗、コンデンサなど)を、指先ほどの半導体チップに詰め込んだものです。ICの登場で、電子機器は小型化・省電力化・高性能化が一気に進みました。

半導体チップとは?

  • 半導体:電気を通す性質(導体)と通さない性質(絶縁体)の中間的な性質を持つ材料。
        代表例はシリコン(ケイ素)

  • チップ:半導体を小さな板状に加工したもの。数mm角ほどの大きさで、ここに微細な回路パターンが描かれる。チップは金属の配線や保護樹脂でパッケージされ、私たちが見ている「ICの黒い部品」の形になります。

💡 イメージ
半導体チップは、電子回路を作り込んだ高機能な基板を米粒サイズまで小さくしたものです。

出典元:日立ハイテク

ICの主な種類

ICは役割によって大きくデジタルICアナログICに分けられます。最近は両方の機能を持つ混合信号ICも多く使われています。

デジタルIC

  • 0(Low) と 1(High) の二値信号で動作
  • 内部は AND / OR / NOT / NOR などの論理ゲートを組み合わせて構成

マイコン(Raspberry Pi PicoのRP2040)、メモリIC、ロジックICに利用されている。
得意分野は、条件分岐、計算、情報の保存や通信。

アナログIC

  • 電圧や電流など連続的な値を扱う
  • 論理ゲートではなく、トランジスタ・抵抗・コンデンサなどのアナログ動作を利用

オペアンプ(Operational Amplifier)、センサー用アンプ、電源レギュレータに利用されている
得意分野は、信号の増幅、フィルタリング、電源安定化

混合信号IC

  • アナログとデジタルを両方持つIC

温湿度センサーBME280(アナログ計測+デジタル通信)のように利用されている

ICの中身を構成するトランジスタとは?

トランジスタはIC内部に大量に入っているスイッチ 兼 増幅器です。
ICの動作は、このトランジスタを何千〜何十億個も組み合わせることで成り立っています。

トランジスタの3つの端子

  • B(ベース):スイッチの「指令線」
  • C(コレクタ):電源側
  • E(エミッタ):GND側

動作の仕組み

  1. ベースに小さな電流を流すと、大きな電流がコレクタ→エミッタ間に流れる
  2. ベース電流を止めると、C-E間の電流も止まる
  3. このON/OFF動作を組み合わせて、論理ゲート(ANDやNORなど)を作れる
  4. アナログ的に使えば、音声やセンサー信号の増幅も可能

トランジスタは「指令に応じて水の流れを大きくしたり止めたりできる蛇口」のような存在です。

電子工作でよく使うICの一覧と用途

IC名種類用途
BME280混合信号IC温度・湿度・気圧計測(アナログ計測+デジタル通信)
MCP3008デジタルIC(ADC)アナログ信号をデジタル化
PCA9685デジタルIC(PWM制御)サーボモーター・LED制御
LM358アナログIC(オペアンプ)信号増幅
NE555アナログICタイマー、発振回路
L293D/TB6612FNGデジタルIC(モータードライバ)DCモーターやステッピングモーター制御

まとめ

よく聞く割に説明しづらい「IC」というワード。少し理解が進んだのではないでしょうか?
電子工作をより楽しくするためにも、すこしむずかしいですが、「論理ゲート」や「トランジスタ」「MOSFET」に関する記事も追加していこうと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次